皆さんこんにちは!ななこです!
Google検索で”博士課程”と入れると「博士課程 人生終了」という物々しい文言が予測結果に出てきます。
今回は「博士課程への進学は本当に人生終了なのか?」という内容についてを具体的に話して行きたいと思います。
特にこれから進学するか迷っている方に少しでも参考にしていただけるとありがたいです!
そもそも”何が”人生終了なのか?
まず、「何が人生終了なのか?」を具体的にしていきましょう。
人生終了と言われてしまう要因として以下のものが挙げられると思います。
・研究が辛い
・金銭面で困る
・進路が決まらない
では各々について説明をしていきます。
研究が辛い
修士課程での研究も大変ではありますが、博士課程では”博士号を取る“ために論文を何本か出すことや学会発表に追われます。
また、成果がなければ博士号を取れないということも精神的に参ってしまう要因です。
研究は楽しいものでもありますが、成果が出ないとやはり辛いです…。
研究自体が大変なので、私も「研究者に向いてないのでは…」と何度も悩みました。
その他外的な要因としては、指導教員や先輩・後輩などの人間関係などが挙げられます。
極端な話、人間関係が博士課程で一番の困りごととも言えるかもしれません。
特に一番ひどいのは指導教員や先輩からアカハラ・パワハラを受けてしまう場合です。
私の指導教官はこちらが恐縮するほど良い先生で、幸いなことに普段はパワハラとは無縁です。
ただ学会で「この人自分の学生にパワハラしてるんだろうなー」という人は時々観測します。
研究すること自体が大変なのに、その上パワハラを受けてしまうと精神的にまいってしまいます…。
こうした研究や人間関係に関する悩みについて、私は以下のことを意識するようにしています。
・他人の言うことは気にしない
・成果が出なくても焦らない
・きちんと休息をとる
私も修士課程のとき、研究がうまくいかなくて焦ったり、精神的に追い詰められたりしていました。
ですが、「研究って意外とマイペースにやったほうがうまくいくのでは?」と思ってからは悩みすぎることがなくなりました。
そして、まだまだ未熟ですが、実感としてもマイペースにやったほうが進捗が早い気がします。
金銭面で困る
博士課程で人生終了と言われる大きな要因の一つに金銭面が挙げられます。
博士課程では学振の特別研究員やSPRING事業などの経済的支援を受けられなかった場合は、奨学金を借りる方も多いのではないでしょうか。
具体的な話はすでにまとめている方がおられるので割愛しますが、例えば日本学術支援機構の第一種奨学金を月々80000円、もしくは122000円借りた場合、
月々80000円の場合:8万円×12か月×3年=288万円
月々122000円の場合:12.2万円×12か月×3年=439.2万円
※標準修業年限が3年の場合
最短で博士号を取得できたとしても数百万の借金が残ってしまいます。また、アルバイトでやり繰りするのも研究があるため中々難しいです。
授業料免除の制度があっても、昨今の物価高で庶民は生活が苦しいのが実情では?
こうした①博士課程在籍中の金銭面のストレス②卒業後の借金が「人生終了」と言われる要因ではないでしょうか。
こうした状況を打破するための方法は以下の通りです。
①学振の特別研究員やSPRING制度を狙う
②給付型奨学金を狙う
③自分の専門に関連したバイトをする
①学振の特別研究員やSPRING制度を狙う
博士課程に進学する方なら言わずもがな知っている内容かと思いますが、まずは学振の特別研究員やSPRING制度に採択されることを狙いましょう。
日本学術振興会の特別研究員(DC1・DC2)に採択された場合、月額20万円(2024年9月16時点)が給与として支給されることになっています。
また、SPRING事業は採択された大学単位で事業を実施しているので、具体的な支援内容は大学により異なりますが、年額200万円程度が支給されます。
これだけでは昨今の物価高を生き抜くのに十分かと言われるとそうではないですが、学振の特別研究員もバイトの要件が緩和されましたし、SPRINGもアルバイトは可能です。
そうしたことを踏まえると、特別研究員やSPRINGに採択されるとかなり生活は楽になります。
②給付型奨学金を狙う
学振に通る気がしないし、SPRINGは自分の大学ではやっていない…という場合もあるでしょう。
その場合は、徹底的に情報収集をして給付型奨学金をゲットしましょう。
「どうやって情報収集をしたらよいの?」という方は大学のHPや”わしまる大学”さんの情報を参照しましょう!
わしまる大学さんは言わずと知れた奨学金情報の有名サイトですが、私自身本当にお世話になりました。
色んな情報を丁寧にまとめてくださっているので、わかりやすいですし、ここまで情報を書いてくださる方はなかなかおられません。
その他、先輩などインターネットからだけでなく、身近な人にも聞いてみるのも一つの手でしょう。
私は博士課程進学前に先輩に質問しまくりました!先輩に聞くと博士課程での生活をイメージしやすいです。
③自分の専門に関連したバイトをする
その他、アルバイトも活用してやり繰りする方法としては「自分の専門性にあったバイトをする」ことが一つの手になるかと思います。
もちろんその他のアルバイトも一つの手ですが、関連性があるほうが自分の将来のためにもなるし、個人的には負担が少ないです。
いわゆるTAやRAはもちろん、家庭教師など比較的割の良いバイトができると金銭的には楽になります。
進路が決まらない
「人生終了」と言われる最大の要因はこちらではないでしょうか?
世間的な博士課程のイメージは”頑張って博士号を取得しても中々職が得られない“といったところでしょうか。
私も進学前は何年もポスドクで不安定な生き方になるのかな…と戦々恐々でした。
博士課程に実際に進学し、同じ博士課程の学生と話をしたりOBOGや先生と話をして思ったのは、このイメージは環境によっては本当だけど一概にそうではない(むしろ間違い)ということです。
その理由としては以下の通りです。
・アカデミックに限定しなければ就職はできる
・博士課程の学生が欲しい企業は意外と多い
アカデミックに限定しなければ、就職はできる
私が博士課程進学に際して博士課程の先輩方に色々と相談しましたが、必ず「民間企業も考えてたらそこまで心配しなくても大丈夫!」と背中を押していただけました。
ただ、私の知り合いはいわゆる理系(理学・工学)に偏っているため、文系だと同じかと言われると分かりません。
少なくとも、私の周囲では”博士号取得後、民間企業への就職も難しい”という事例はあまり聞いたことがありません。
また、私の大学でも博士課程の学生への就職支援が行われていますが、支援の担当者も「自分の分野に固執しすぎなければ、意外と入り口は広い」というようなことを言っていました。
博士課程の学生が欲しい企業は以外と多い
でも本当に博士課程の学生が企業から望まれているか?と思う方もおられるかもしれません。私も博士課程に進学するまではそうでした。
ただ、進学後に色んな方の話を聞いていく上でかなりイメージが変わっていきました。
というのも、普段企業の方とお話する機会があるのですが、「博士課程の人材がほしい!」というようなことをよく言われるんですね。
世間では”博士人材は専門性が高すぎて使えない”なんて声もありますが、むしろ私の専門分野では「博士人材が欲しくてたまらない」状態みたいです(多分)。
そういった話を聞いていくうちに、就職の心配は段々となくなっていきました。
もちろん、これは私の周囲で見聞きする話。できればこれから進学する方には進学前に色んな人に話を聞きに行くことをおすすめします。
自分の周囲ではどうなのか?を探ると色々とイメージしやすいです!
社会人博士の方がいいのでは?
博士号取得に関する話になると必ずといっていいほど「社会人博士でいいのでは?」という話になります。
私もギリギリまで社会人博士かそのまま進学するか悩みました。
ではなぜ私は社会人博士ではなく、そのまま進学したのか?というと理由は次の通りです。
・社会人博士は仕事と研究の両立が難しそう
・進学した方が研究に集中でき、成長できそう
・ライフイベントへの影響がありそう
社会人博士は仕事と研究の両立が難しそう
「社会人博士なら収入を心配せずに博士号取得ができる!」と社会人博士をおすすめされることもあるかもしれません。
私自身、進学前は社会人博士の道も考えたことがあります。
しかし、色々と悩んだ末に(私には)仕事と研究の両立は無理!という結論になりました。
「平日は仕事で夜や土日に研究」は身体の弱い私には無理です…
もちろん、企業によっては博士号取得を積極的に支援してくれることもあるので一概には言えません。
ただ、運よくそういった企業に入れても、必ずしも自分の希望通りに事が運ぶとは限りません。
もしうまくいかなければ多分私の性格上博士課程への進学を諦めてしまうなと感じてしまいました。
進学した方が研究に集中でき、成長できそう
一つ目の話とも関係しますが、博士課程にそのまま進学したほうが成長できるのでは?と思ったのも進学を決めた理由です。
もちろん”博士課程で成長できる”というのは自己満足かもしれません。
ただ、このまま就職して一旦研究が途切れてしまうよりも、そのまま続けたほうが研究も深められるし自分の思考力・洞察力も向上すると思いました。あくまで主観ですが。
個人的には学部4年よりも修士2年のほうが成長が早かった気がします。
それに時間がない中で色々と考えるよりも、(忙しいながらも)少し余裕をもたせないと良いアイデアが浮かばないなとも感じました。
焦ったり時間がないときほどうまくいかないんですよね。あくまで私の主観ですが。
こういった考えで、「こんな気持ちなら後々後悔するかもしれないから進学に決めた!」となりました。
ライフイベントへの影響がありそう
これもあくまで主観ですが、結婚・出産といったライフイベントを考えると社会人博士は難しそう…だと思いました。
社会人博士で博士号を取得するまでに3年で終わったというケースは身の回りでほとんど聞いたことがなく、5年6年7年とかかるケースはざらにあります。
その間に子供が生まれたら…と考えると仕事もして育児もして社会人博士もしてだなんて私には無理!!!
世の中にはなんでもこなせるスーパーサイヤ人もいますが…
それに、そういったライフイベントを経験すると「博士号は無理だしいいや」となってしまいそうだなとも感じました。
こういった理由から最後は半ば強引に博士課程への進学を決意しました。
実際に進学してみてどうだったか?
では実際に進学してどうだったか?というと少なくとも私は”人生終了”どころか今までの人生で一番充実している!と感じています。
もちろん研究の成果が出ない悩みも将来の不安もありますが、やっぱり新たな知を創造するために邁進する日々は貴重だと感じています。
それに国際学会へ参加したり、大御所の先生と話す機会もあるなど、お金では買えない経験ができているのもすごく楽しいです。
修士課程での研究と違い、自分で研究テーマから全て構築していくのは大変ですが、成果を得られたときの喜びもひとしおです。
最後に
今回の話はあくまで私の主観かつ私の環境での話なので、一般的に語れることではないことはもちろんわかっていますが、博士課程に進学するのにそこまで気を張らなくてもいいのでは?と感じています。
これから博士課程に進学するか迷っている方は、ぜひ身近な人に聞いてみてください。
勇気を出して聞いてみたら意外と視界が開けてくるかもしれません。